2006年9月
「八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅」
何かを始めるのに 遅すぎることはない!
53歳から英語学校に通い、65歳でイギリスにひとり旅を始め、84歳で13回めのイギリスひとり旅をされた 清川 妙さんの エッセイです。
この気力、やる気はもとより、英会話の先生とのやりとりや、イギリスでの人との関わり合いのエピソードが楽しめます。
例えば、
英会話の先生がカナダに帰ることになり、家にお招きして2人だけのパーティをしたときのこと。
スープを一口飲んでは、「ベリ・グッド・スープ!」
サラダを見ては、「グレイト!ビューティフル・サラダ!」
古伊万里の鉢を見ては、 「ビューティフル・ボウルですね。私は日本の器が大好きです。」
「ナイス・トリート(すてきなおもてなしです)」
そして、お皿を洗いたいと申し出たあげくに
「あなたを手伝うことを エンジョイしたいしね!」
「ラブリー・キッチンですね。ことに この白いフレンチ・ドアが大好きです。
ここは静かで、あなたは鳥の声もたくさん聴けて、ハッピーですね。」
と 事あるごとに ほめてくれる先生のこと。
・・・おや、どこかで 経験した光景のよう!
こういう細やかで具体的なほめ言葉は、本当に心をほどいてくれ 思わず 顔がほころびます。
そして、最後の別れのあいさつでは、
「Good Bye とはいいません。See You soon!と言って別れましょう。」
と、どこまでも、素敵です。
彼女が 84歳になっても イギリスへ一人で旅ができるのも、こういった 素敵な言葉をたくさんもっている人たちとのふれあいに 味をしめての事なんでしょうね!
あっという間に読める本です。
「檸檬」
「レモン」を「檸檬」と書くのだ ということも、
「檸檬」という 梶井基次郎の小説があるということも、
まっさんから教えてもらったことです。
そして、当時、 全然小説なんて読みもしなかったのに、
梶井の「檸檬」を読みました。
強烈に覚えているのは、
最後に 主人公が 寺町三条の果物屋さんで盗んだ檸檬を、
丸善に行って、ごちゃごちゃに積み上げた美術書の上にのせて、逃げた ということです。
絵の具のチューブから出したままのような色。
その美しい形。
ひんやり感。
どれも、梶井の美観にかなったようで、
とりわけ、病気のために 微熱のあった梶井は、
檸檬を手の中に持つのが好きだったようです。
数年前、骨董品なんかを観ようと出かけた時にたまたま通った
寺町三条の角の果物屋さん。
もしや と思って、引き返してみたら、
お店のウインドウの片隅に、梶井基次郎の記事が 小さく飾ってありました。
二階がパーラーになった、なんてことない昔ながらの果物やさんで、
中に入ると、なんてことない おじいさんが出てきました。
何でも、どういうわけか、修学旅行生がよく訪ねてくるのだと
不思議そうに おっしゃっていました。
急に涼しくなってきて、
なんだか、レモンイエローの絵の具のチューブから出したまんまのような
レモンをついつい思い出してしまいました。
ごちゃごちゃした色彩の上に単純なレモンイエローのレモンを
置いてみたくなった 梶井基次郎の気持ちが
ちょっとわかるような気がします。

























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